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北米の国際的な人材派遣業

2013-03-12

米国のカリフォルニアには農場が多く、収穫期になると大勢の人を雇わなくてはなりません。その多くは隣国のメキシコから来た農業労働者だそうです。

アスパラガスの場合、収穫に適した期間は3日から4日しかないそうです。早く収穫しすぎてもダメですし、遅くなったら全てダメになるそうです。そこで収穫期に少し前から人を集めて、ベストの時期が来るまで待機させているそうです。

万一いよいよ収穫の時期になって急に労働者が「給料を上げてくれ。さもなければ辞めて帰る」などといってきたら大変なことになります。何故なら、今更辞められても急に代替要員を確保するのは無理です。

そうした事態を避けるため農場経営者はどのような手を使っているのでしょうか。

実は農場経営者は、自ら農業労働者を募集するのではなく、メキシコの地元の顔役に斡旋を頼むそうです。

農業労働者の方は、へたなことをして地元の顔役の顔を潰すとすると、二度と仕事を回してくれなくなるばかりか、村での生活が難しくなりかねません。一方、顔役としても、農場経営者と末永くビジネスを続けてゆきたいので、農業経営者を失望させるようなことはしないように努力するでしょう。人選を確りして、万一の場合には代替要員も確保するでしょう。

この結果、農場経営者は毎年安心して収穫期を迎えることができるのです。

この事例は、伊藤元重著「ビジネス・エコノミクス」で経済学の「ゲーム理論」の説明にも使われています。ちなみに、この本は、ビジネス・経営の問題を経済学的な視点で分かり易く解説しており、とても面白くしかも役に立ちます。